技術情報

超音波の利用について

2023/01/15

可聴域の音波は20～20000Hzとされ、それより低い周波数の音は超低周波音、20000Hzより高い周波数の音は超音波と言われています。最近は自動車の周辺との距離の制御で、超音波が利用されてきています。そのため無響室もその場合には超音波領域まで逆自乗則が成立するかの確認が必要になっています。自動車の障害物までの距離の計測は、超音波の受発信器で計測します。

キーエンスの超音波センターの広告では「超音波センサには、反射型と透過型があります。反射型のセンサヘッドは1台で発信と受信の機能を持っており、センサヘッドから対象物へ超音波を発信し、反射波を受信して発信から受信までの時間で距離や有無を検出します。」とあります。ここでは自動車の距離を測って制御する装置を紹介しました。発信する周波数はおおよそ40kHzで、音速は340m/sとすると波長λは9mmとなります。

超音波を実用化した最初は、第一次世界大戦の最中に超音波を用いた潜水艦探知機を開発したところから始まっています。Wikipediaによれば「その探知機は、2つの鋼鉄製平板に注意深く接着した薄い石英結晶を用いた変換器（トランスデューサ）と反射波を探知する水中聴音器（ハイドロホン）よりなり、変換器から高周波のチーチー音（チャープ）を放出し、対象物からはねだす音波の反射音を検出するまでにかかる時間を測定することで、その対象物までの距離を計算する。」とあります。超音波は空気中では約340ｍ/ｓですが、水中では約1500m/sで、音が拡散しにくく遠くまで伝搬することができるという特徴があります。

この水中での超音波の開発時から今では、魚群探知機や海底の地形調査なども行われています。

また建築では鉄筋の超音波探傷やコンクリートのひび割れ調査、基礎杭の長さ測定なども行われています。また医学では心臓や腎臓などの断面を超音波エコーで分析する方法も現在行われています。残念ながら肺は空洞部のためにこの超音波では検査できず、コロナ感染による肺の検査は高価なCTが残念ながら使われています。

また動物の声も超音波が含まれています。クジラやイルカなども超音波で声を出し、耳で反射してくる音を聞き取る能力があるようです。たぶん小魚を見つけ出すための様です。コウモリは夜間飛ぶときに超音波の声を出しながら、邪魔な物体を確認して飛んでいるようです。また熊やタヌキなども農作物を荒らす場合があるため、超音波のスピーカで追い出す装置を用いているようです。

このように超音波の利用分野は幅広くなっているために、超音波検査用の無響室も増えてくるものと思われます。しかし超音波用の騒音計は20kHz以上の周波数が計測できる騒音計が必要です。また超音波発生器、アンプ、無指向性超音波スピーカが必要になります。これらを一般的にするためにはまだまだ技術開発が必要になります。

半無響室用の超音波無指向性スピーカの試作例

YAB Corporation 藪下満

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