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防音カーペットを敷いても効果がない?!
2020/11/16
- 無響室・防音室のソノーラ
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防音カーペットを敷いても効果がない?!
もし住んでいるマンションの階下から「お宅はうるさいね」という苦情をされたら、本当に嫌なことですよね。また近所に迷惑をかけることもできるだけ避けたいという方も多いと思います。
この需要を狙い、防音カーペットが最近よく売れています。しかし、実は防音カーペットは多くのケースで効果が発揮出来ていません。
一体どういう落とし穴でしょう?真実は何なんでしょうか?もしあなたもこれから防音カーペットの購入を考えているなら、こうならないように、ぜひ最後まで読んでください。
防音カーペットを理解するために、まず軽量衝撃音と重量衝撃音から御説明をしていきたいと思います。軽量衝撃音は床を通って階下に伝わる床衝撃音の一つです。イメージとしては、スプーンなどを床に落として「コツン」といったり、スリッパで歩いて「パタパタ」するように、比較的軽めで高音域の音を言います。
重量衝撃音のイメージとしては子どもが飛び跳ねたり、椅子を動かしたときなどに、「ドスン」「ガタン」と大きく下の階に伝わる鈍くて低い音を言います。これでイメージは付くでしょうか。
ここで要注意なのは、スプーンやコインを床に落とした時はまだ軽量衝撃音ですが、お皿を床に落とした時の音は重量衝撃音になってしまいます。
またスリッパで歩く時はどちらかというと軽量衝撃音ですが、ちょっと急いで歩くと、重量衝撃音になってしまいます。つまり、軽量から重量に変わる境界線は簡単に超えてしまうということです。
では、これは何が悪いの?と思うかもしれませんが、実は大きな違いがあります。
軽量衝撃音は、確かに普通の防音カーペットを敷けば、ある程度は解消出来るかもしれません。コインがふわふわのカーペットに落ちたら、あまり音はしないのがイメージできると思います。
一番大きな問題は重量衝撃音です、現実的には対策はほぼ出来ないことが多いです。なぜなら、子供が飛び跳ねて揺れているのは、マンションの床自体なので、この振動はマンション全体に伝わります。
重量衝撃音の遮音性能は、床の材質の重さと床のコンクリートスラブの厚みに比例するので、床の上に何を敷いても、この振動は結局伝わっていきます。なので重量衝撃音はマンション自体の構造に関係して、自力での防振は非常に難しいです。
またこの重量衝撃音は苦情の主な原因にもなります。
しかし、防音カーペットを購入された方々の中では、すでにクレームが出ていた方が多くて、または「これじゃ近所迷惑になるんじゃないの?」と懸念し、予防目的で購入した方も多いと思います。
残念ながら、これらの騒音はほとんど重量衝撃音の範囲に入りますので、市販の防音カーペットではそれを解消することができません。
それなのに、多くの防音カーペットの商品紹介の部分に、「走り回っても大丈夫!」「緩衝性に優れている」と謳っており、いかにも重量衝撃音も解消出来そうな紹介をしています。
しかし、前述にあったように、重量衝撃音はマンション自体の構造に関係しており、防音カーペットで解消するのは非常に厳しいです。
また、軽量から重量に変わるのが非常に簡単なので、防音カーペットを購入したから、安心してしまって軽量衝撃音の一線を超えてしまうはしゃいだ行動を取る方も多くいます。
これらのことは、防音カーペットに対する一部の悪い評判の最大の理由です。なので、もしあなたも防音カーペットを買おうと考えているなら、まずは御自身の生活スタイルとマンション構造の遮音性能を確認した上で、御購入された方が良いと思います。また購入して設置した後の検証も難しいので、失敗したら損失は大きいです。
以上で、なぜ防音カーペットを敷いても効果がないかについて説明しました。
確かに売り側は重量衝撃音を解消出来ることを保証してはいないので、嘘はついていませんが、言い方としてはお客さんに勘違いを与えています。より多くの消費者に買ってもらいたいというのは理解できますが、若干狡いと思います。なので、もしあなたも防音カーペットの購入を検討しているのなら、ぜひ気をつけてください。
マンションやアパート等で、階下への騒音や振動問題が発生している場合、基本的には「何をやっても無駄」とお考え下さい。軽減することも難しいでしょう。むしろ、色々な対策をすることで、余計に問題が大きくなる可能性もあります。
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