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コンクリートによる浮床の設計方法
2022/10/16
- 無響室・防音室のソノーラ
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1. はじめに
無響室・半無響室を作る場合に、事務所や工場の中に計画されることが多いが、事務所や工場の中に振動して、固体音を発生する機械がある場合や、敷地に隣接して道路や鉄道・地下鉄などがあり、そこから固体音が発生し、無響室等に影響する場合もある。
その場合には事前に振動の調査を行い、建物に人体が感じる振動があるか、または音になるような固体振動が存在しているか調査をすることが好ましい。
また無響室・半無響室を環境振動の中で作る場合には、まずコンクリートの底盤および基礎を作り、その上に防振ゴムで振動を絶縁した浮床を作り、さらにその上に無響室・半無響室を設置することが望ましい。
2. 防振の基本的な考え方
単純化するために、図のように1自由度系の強制振動について考える。質量mにF0sinωtの力が加わっているとする。この外力は質量mのなかに回転機械がある場合と、外部に回転機械がある場合がある。振動系のモデルは図1のように、振動伝達率τは次の式のように表される。
例えば防振ゴムの下限の設定周波数の固有振動数f0=10Hzの場合には、加振の周波数f=10Hzの時、すなわちf/f0=1の時には振動伝達率が最大になり、すなわち共振することになる。f=√(2)foのときに振動伝達率が1になり、この周波数よりも前の領域では振動伝達率が1を超えるために、加振力は増幅してしまう。防振ゴムで対策をする場合には、減衰比ξ=0.1程度であるから、防振するためには回転機械は少なくとも、共振周波数の約2倍=10dB,または≒3倍=20dBを防振の低減目標とすべきである。
また固体音を意識した場合には、可聴域周波数は20Hz以上のために振動伝達率=1以上とすると、固有振動数は20/√(2)≒14Hz以上になるように設定する必要がある。大体これが限度で、大まかに言えば防振ゴムで共振周波数を15Hzになるように設定して、対策をすることが重要である。
振動伝達率τと振動数比f/f0の関係を表したものが下図である。
3. 防振ゴムの選定
一般的には、以下のような市販の丸型防振ゴムを用いることが多い。以下の写真は倉敷化工株式会社の丸型防振ゴムKAタイプのものでHPから印刷した。圧縮力には当然であるが、ボルトがついているのでせん断力にも効果がある。ただしボルトを床スラブで受け、さらに上部には大引きのような構造体と、型枠が必要となる。また一つ当たりのコストも高い。
そこで単なる防振板ゴムを実験して、適当な大きさの防振板ゴムとその動的ばね定数を予測できるようにした。形状としては4cm~8 cmの角型か8 cm~12 cmの角型の二組に分けて、説明変数を予圧縮、大きさ、加振周波数、厚さ、硬度、加振振幅として、実験計画法を用いて、重回帰分析を行って動的ばね定数の予測式を求めた。また角ゴムの動的ばね定数の推定は、日東化工のゴムの材料を用いて加振実験を行ったもので、その他のメーカーのものの特性は予測式に入っていない。
丸型防振ゴムと比較すると防振用の板ゴムをカットしただけの単純な形状となっており、場合によっては、製品コストは大きく下げられると思われる。
4. 防振浮床
いままで誘因送風機の防振基礎、輪転機の防振基礎、ポンプ類の防振基礎、トランスの防振基礎、無響室の音源の防振基礎、録音スタジオや音楽練習室の浮床、複合映画館の防振スラブ、集合住宅の乾式二重床などに使われてきた。目的は振動を低減する場合と固体音を低減する場合がある。 以下は某工場の防振床の基本図である。
防振基礎の浮床のコンクリートの型枠はベニア15mmとなっているが、型枠として不燃材ではないとか、耐久性がよくないなど、フレキシブルボードに変えることもある。またこの場所は雨が当たるとか水に影響する場合などは、防振ゴムの周囲に発泡ポロエチレンを設置して、防水しながら防振する場合もある。また以下の図のように浮床コンクリートが厚い場合には、防振板ゴムのほかにグラスウール47kg/m3のある程度軽いものを敷き、型枠として用い、コンクリートを2度打ちして、最初は薄いコンクリート板として打設し、厚いコンクリートを打設しても、防振板ゴムで大部分を受けてグラスウールの沈下を少なくし、最終的にはグラスウールの影響を少なくする場合もある。また型枠としてアイデッキを逆さに用いて、平らな面を防振板ゴム側に、リブ側をコンクリート側にすることも可能性がある。これはアイデッキが不燃材で、施工性もいいが、リブの高さは70mmあるために、浮床はある程度厚みが必要である。
YAB Corporation
藪下 満
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