技術情報

密閉をしなくても防音は出来る??

2024/10/19

防音室や無響室など、ある空間を囲い込んで音の影響がないように設計された部屋は、密閉された空間である必要があります。密閉度を高め、完全密閉に近い状態にすることが理想です。

ただ、実際には防音室や無響室も密閉がされているとはいえません。その理由は、換気経路が付加されているからです。

密閉された部屋は、外気から遮断された空間となってしまうため、室内に人が入ることはできませんし、内部に発熱体があると熱処理が出来ないことから温度上昇などの問題が起こります。

よって密閉された空間には、一般的には換気装置を設けますので、室内外で空気が繋がった部分が発生します。

そのため、換気と防音を兼用しなくてはならないことから、サイレンサーダクト(消音器)を設けます。

また、防音室や無響室ではなく、防音壁や吸音工事の場合は密閉をせずに防音をする手段です。

さて、本記事のテーマである「密閉をしなくても防音は出来る?」ということに対しては、「出来る」というのが答えです。

しかし、これでは技術記事としては一般論を述べただけであり、面白くはありません。我々が今回記事としたのは、「密閉をしない防音設計でも実は高レベルの遮音が出来ます!」ということを御紹介をしたかったからです。

当社では過去にいくつかの記事を公開しています。

これらは、当社で手がける密閉をせずに高い遮音性を確保する方法ですが、今回は、さらに別記事である「タレルの部屋」を応用したお話です。

タレルの部屋は、重厚なコンクリートで囲まれた部屋で、天井が開口されています。これを防音室と見立てるとどうなるでしょうか?

タレルの部屋の中にうるさい機械、例えばコンプレッサーを置いて稼働させると、コンプレッサーから発生した騒音は床や壁に反響、増幅し、最終的な逃げ道である天井開口へと向かい部屋の外に出てしまいます。

一方で、部屋の外で発生した騒音も同様に、天井開口部から室内に流入するでしょう。

つまり、防音室としては不向きであり、サイレンサーも設置されていないただの天井開口というのは、音がダイレクトに通過してしまいます。

ですが、防音室として不向きというのは、構造そのもののことであり、防音室の形状としては開口部があったとしても成立するように設計は出来ます。

冒頭でサイレンサーダクトのお話をしましたが、タレルの部屋自体をサイレンサーとしたらどうでしょうか・・部屋自体にサイレンサー機能があれば、天井開口部から抜けていく騒音、または、天井開口部から流入する音、いずれにも効果的であるといえます。

サイレンサーは、内部が吸音処理されています。タレルの部屋は室内壁が全て剛体で音を跳ね返しますので、内壁部分に吸音処理をすれば、簡易的なサイレンサーとなります。

つまり、天井は空いているが、それなりに防音機能がある部屋を作ることが出来ます。

(注意)吸音処理をするだけでは、遮音性能には限度がありますので、その他工夫は必要です。

サイレンサーは、長ければ長いほど消音効果があります。

以前、当社では、デモ用に「消音通路」というものを作ったことがあります。(全長10mの人が通れる通路ですが、まっすぐな通路ではなくクネクネと曲がった通路です。)

消音通路の入口と出口それぞれに人が立ち、会話をしてもらいますが、通路を通った声は消えてしまい全く会話は出来ません。大声を出しても聴こえません。

サイレンサーは構造によっては、感覚的にもそれだけの効果を発揮する事ができます。

タレルの部屋のような形状で実際に防音室を作ったら?

では、少し話が戻りますが、実際に天井が開放している防音室を作って現実に使用出来るのか?ということですが、これは当社で実績があります。

実績案件は、防音室内の音源が発熱をするが、機械換気による排熱をさけたい=自然換気というものでした。天井部を開口することにより、上昇した温度を逃すという設計です。

この防音室は、ファンや給排気サイレンサーがないシンプルな作りであり、コストを抑えることが出来ました。

ただ、シンプルながら天井開放型防音室の設計は容易ではありません。前述のように室内を吸音処理すれば良いだけではなく、様々な工夫が必要になります。

タレルの部屋はあくまでも、イメージとしてお伝えしましたが、設計方法によってはこのように一風変わった防音室を作ることも出来ます。

当社では、過去、様々な御要望にお答えしてきました。難しい課題こそ力を発揮できると思いますので、「これは難しいだろう」「こんなことが出来ないか?」など、騒音対策や音響計測空間の構築でお困りのかたは是非お問い合わせください。

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