技術情報

アクティブノイズサイレンサーとは?—仕組みと用途を解説

2025/03/30

アクティブノイズサイレンサー(Active Noise Silencer、ANS)は、周囲の騒音を低減するための技術であり、特に産業分野や車両、建築音響、さらには医療や軍事用途でも広く活用されています。本記事では、アクティブノイズサイレンサーの仕組み、種類、活用例について詳しく解説します。

アクティブノイズサイレンサーの基本原理

アクティブノイズサイレンサーは、「アクティブノイズキャンセレーション(ANC)」の原理を応用した技術です。具体的には、以下の手順でノイズを低減します。

① 騒音の検出

騒音を測定するために、マイクロホンを使用して周囲の騒音をリアルタイムで取得します。

② 逆位相の音波を生成

騒音と逆位相(180度ずれた波形)の音を発生させることで、騒音と干渉させて相殺します。これにより、耳に届く騒音が減少します。

③ フィードバック制御

ノイズキャンセル効果を最適化するために、フィードバック制御やフィードフォワード制御を使用して、環境に応じた適応を行います。
この技術は、特に低周波の騒音に対して効果を発揮します。

アクティブノイズサイレンサーの種類

アクティブノイズサイレンサーには、主に以下の3つの方式があります。

① フィードフォワード方式

  • 騒音が発生する前に、その音を予測して逆位相の音を生成する方式
  • 先読みしてノイズを打ち消すため、高速応答が求められる環境に適している
  • 例:ヘッドホンや車のエンジンノイズキャンセル

② フィードバック方式

  • 実際に耳に届く騒音を測定し、その場で逆位相の音を生成する方式
  • 遅延が発生しやすいため、リアルタイム制御が重要
  • 例:建築音響や工業機械のノイズ制御

③ ハイブリッド方式

  • フィードフォワード方式とフィードバック方式を組み合わせた方式
  • 幅広い周波数帯域の騒音を抑えることが可能
  • 例:航空機のエンジンノイズ低減システム

アクティブノイズサイレンサーの用途

アクティブノイズサイレンサーは、さまざまな分野で活用されています。

① 産業機械

  • 工場の機械音、コンプレッサー音を低減し、作業環境の快適性を向上
  • 例:自動車エンジンの騒音低減装置、冷却ファンのノイズ対策

② 自動車

  • 車内のエンジン音や道路ノイズを抑えるため、快適なドライブ環境を提供
  • 例:トヨタ社、BMW社、テスラ社などの車両に搭載されるANC(アクティブノイズキャンセリング)

③ 建築音響

  • 住宅やオフィスビルでの騒音低減を実現
  • 例:エアコンの室外機の騒音低減、地下鉄の騒音対策

④ 航空・宇宙分野

  • 航空機のエンジン音やキャビン内の騒音を低減
  • 例:ボーイング社やエアバス社の旅客機に搭載されるANC技術

⑤ 医療・ヘルスケア

  • MRIやCTスキャン装置の騒音低減
  • 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の患者向けの静音装置

⑥ 軍事・防衛

  • 潜水艦や軍用機の静音技術
  • 例:ステルス技術の一環として使用される

アクティブノイズサイレンサーのメリットとデメリット

メリット

  • 高い騒音低減効果
  • 特に低周波騒音に効果が高い
  • 従来の吸音材や遮音材に比べて軽量
  • リアルタイム制御が可能

デメリット

  • 高コスト(特に高性能なシステムは価格が高い)
  • 電源が必要(パッシブノイズ対策と異なり、電子制御が必要)
  • 高周波ノイズにはあまり効果がない場合がある
  • 特定条件下のみで使用できる

今後の展望

アクティブノイズサイレンサーは、AI(人工知能)技術の進化とともに、より高度な適応制御が可能になっています。特に、自動車や航空機では、AIを活用したノイズキャンセリングシステムが開発されており、騒音低減の精度が向上しています。

また、ウェアラブルデバイスやスマートホームの分野でも、アクティブノイズサイレンサーの技術が活用されることが期待されています。例えば、スマートスピーカーに組み込まれたANC技術は、よりクリアな音声認識を実現するために活用されています。

しかし、ANCを使ったサイレンサーは使用条件が限定されますので、特定条件を満たした上での設計、使用が前提となります。

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