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音響測定になぜ逆二乗則が必要なのか
2022/12/16
- 無響室・防音室のソノーラ
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皆さんは音を測ったことありますか?もし「携帯の着信音を測れ」と言われたら、どう正確に測りましょうか?
「騒音計を携帯に近付けて測れば良いでしょう?」と答えるかもしれませんが、よく考えると、周りの喋り声、作業音、車が通る騒音等が騒音計のマイクに入ってしまって正確じゃなくなりますよね。
「そうしたら、静かな夜中で、部屋の窓とドア全部閉めて測れば問題ないでしょう!」とまた思うかもしれませんが、それもまた測定する人の息や測定器の作業音、着信音が壁に当たって跳ね返ってきた反射音を騒音計が拾ってしまうので、正確な数字を出すのが厳しいかもしれません。
ではどうしたら良いのでしょうか?答えは簡単です、以上の問題点を全部解決すれば良いのです。
周りがうるさかったら、その騒音を遮断できる部屋を作ってその中で測れば良いですし、人間の息が邪魔なら、マイクを部屋の中に設置し、外で操作すれば良いです。
また反射音は若干厄介ですが、壁と天井に音を吸収する吸音材を張れば、音は吸音材に当たって反射しないようになります。
これで大まかな問題は解決できると思います。このような部屋は実際存在します。「無響室」と呼ばれます。
そしてこれらを全て解決できたら、音は放射状に拡がります。
さて、これは逆二乗則とどういう関係があるのでしょうか?
実は自由音場を実現する無響室は逆二乗則を満たしています。逆に言いますと、逆二乗則が成立する空間であれば、また無響室とも言えます。
それでは逆二乗則について説明します。
先ほど3D放射状のイメージがありました。この球状の一部を取り出すと、こうなります。
ここで、面1における音の大きさをS1とする、半径をrとする。
面2における音の大きさをS2とする、この時の半径は2rである。
面3における音の大きさをS3とする、半径は3rである。
そして、本来なら無数の音が面を通りますが、わかりやすくするために、何本かの線で表します。
ここで要注意なのは、音の総合的な大きさは変わらないのですが、面積が増えることによって、分散してしまって、薄くなります。それによって、この三面の任意点における音の大きさは面積の増加分に反比例します。
それぞれの面積を計算しますと:
面1:S1=4πr2
面2:S2=4π(2r)2
面3:S3=4π(3r)2
これを見ると、距離が何倍かになることによって、表面積がその倍数の2乗になることがわかります。だから逆二乗と言われます。
ここでは、面2の任意点の音の大きさは、面1の任意点の音の大きさの4倍になります。面3は面1の9倍になります。
ちなみに、実際の場合は、距離が倍になるごとに音の大きさは6dBずつ減衰します。
また補足ですが、逆二乗則が成立する条件は等方性と三次元です。等方性は球面全面におけるどの点でも、音の大きさは同じであることです。似たような言葉は均質性ですが、イメージとしては、淀む牛乳を揺らして、密度が全体同じようになることです。
三次元は簡単に言いますと、つまり私たちが生活するこの空間です。当たり前のような条件ですが、かなり重要で、最後のところで説明します。
以上で逆二乗則の説明になります。
なので、逆二乗則を満たす空間で、任意の場所で音を測れば、その場所から音源までの距離を含めて計算すれば、音源の音の大きさが逆算できます。
または違う距離と違う位置で、複数点の音を測って逆算すれば、いくつかのデータを持って、非等質性の音源(例えばパソコン、携帯)を全体的に評価する方法もあります。
それは「音響パワーレベル測定」というものですが、ここでは深く触れません。
またはこの逆二乗則を持って、無響室の自由音場が成立するかどうか、それを計算で検証することもできます。
逆二乗則をどのぐらい満たしているかによって、無響室の性能の良さを評価することもできます。
結論としては、正確に音源を測りたい時は、無響室で行わなければならないということです。
弊社ソノーラテクノロジーは長年無響室を製作しており、いつもユーザーに性能の良い無響室を提供するために、開発に力を入れております。
最後になりますが、実は音の世界だけでなく、地球の万有引力も、光も、電子クーロン法則も、みんな逆二乗則に従っています。
この中で一番面白いのが万有引力です。もちろん逆二乗則を満たしていることはすでに科学者によって証明されていますが、今は距離0.1㎜のレベルまで証明が出来ていますが、将来はさらに小さなレベルの距離を証明していくと思います。
なぜなら、科学者は私たちが見えない微世界では、余剰次元が存在すると信じているからです。なのでもし微世界で重力の逆二乗則が成立しなければ、それが証明できたということになります。
例えば、5次元なら2乗ではなく、4乗になります。筆者はそれが証明出来る日を楽しみにしています。
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