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スピノラマとは?スピーカー評価手法と無響室の関係
2025/04/04
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スピノラマの基本と測定項目
近年、スピーカー評価手法としてFloyd E. Toole博士が提唱した「スピノラマ(Spinorama)」という測定方法が注目されています。これはスピーカーの指向性を360度全方位で測定し、その性能を数値化する手法です。
スピーカーは前方向(リスナーに向かう音)だけでなく、側面や背面にも音を放射します。スピノラマは、これらすべての方向の音響特性を測定することで、スピーカーの特性をより詳細に分析可能です。

主な測定項目
- オンアクシス周波数特性(On-axis Response) スピーカー真正面(0°)での周波数特性
- リスニングウィンドウ(Listening Window) ±30°の範囲での平均応答(一般的なリスニング環境を模擬)
- 初期反射応答(Early Reflections) 床・天井・側壁からの最初の反射音を考慮した応答
- サウンドパワー(Sound Power) 全方向に放射される音響エネルギーの総量
- 指向性指数(Directivity Index: DI) 音が特定方向に集中する度合いを示す
- 部屋での予測応答(Predicted In-Room Response) 実際の部屋の影響を推定した周波数特性
スピノラマはスピーカーの室内での挙動を定量的に把握するための強力な評価手法です。
スピノラマへの様々な意見
スピノラマは有用な評価手法である一方、様々な意見も存在します。
① 標準化測定の限界
スピノラマはフラットな周波数特性と一貫した指向性を理想としますが、これは必ずしもすべてのリスナーの好みを反映しません。
- クラシック音楽では「広がりのある音場」が好まれる。
- ロックやポップスでは、低音が強調されることが好まれる場合がある。
そのため、スピノラマだけで音質を判断することには限界があるとも言われています。
② 個性が失われるリスク
スピノラマに最適化されたスピーカーはフラットな特性が求められます。これにより個性的な音を持つスピーカーが減少する可能性があります。
- 低音を強調したスピーカー
- ヴィンテージスピーカーの独特な音色
こうした特徴的なスピーカーはスピノラマの理想からは外れる可能性があります。
③ 実環境との乖離
スピノラマ測定は無響室という理想的な環境で行われますが、実際のリスニング環境では以下の影響があります。
- 壁や天井による音の反射
- 家具やカーテンによる音の吸収
これらを考慮すると、実際の環境ではスピノラマ結果と異なる音になる可能性があります。
無響室メーカーの視点:測定環境の重要性
スピノラマ測定の精度は測定環境(特に無響室)に大きく依存します。
① 無響室の精度による影響
理想的にはISO 3745に準拠した完全無響室が望ましいですが、コストの問題でISO 3744準拠の半無響室も利用されています。
- 完全無響室では指向性データが正確に得られる。
- 半無響室では低音域に測定誤差が生じる場合がある。
このように測定環境がスピノラマスコアに影響します。
② 無響室と実環境の違い
無響室では壁の反射がないため、実際の部屋との違いが生じます。そのためスピノラマ結果のみでのスピーカー評価には注意が必要です。
③ 低音測定と無響室の特性
低音域の測定精度は無響室のサイズや吸音特性に依存します。
- 小型無響室では十分な低音吸音が難しく測定誤差が生じる。
- 大型無響室ではより正確な低音測定が可能。
測定環境の設計がスピノラマ測定精度に直結します。
まとめ
- スピノラマはスピーカー特性評価の強力な手法。
- ただし、音質評価には個人の好みやジャンル依存があるため万能ではない。
- 測定環境(特に無響室の精度)がスコアに大きく影響する。
スピノラマ測定は重要な評価基準ですが、単独でスピーカーの善し悪しを決定するには限界があります。
ソノーラでは、スピノラマ測定に適した高精度な無響室の設計・提供、また場合によっては測定器等のご提案も含め、正確な測定環境の整備をサポートさせていただきます。
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