技術情報

防音室の性能をさらにアップするには、壁の形状がカギかも!

2020/12/02

防音室の形状は、一般的には大抵の建物と同じく、長方形で、表面はフラットです。

この記事で、防音室外壁形状の他の可能性について考察してみます。

つまり、その表面はフラットではなく、他の形状にしたら、さらに遮音性能が上がるのではないかということの実現可能性についてです。

それを話すために、まず音の正体について話さなければなりません。

結論から言いますと、音の伝搬には、力学的な特性を持っています。

高校の物理で、音の正体は空気の振動だというのは、周知の通りかと思います。

それをさらに掘り下げると、その中78.1%は窒素で、20.9%は酸素、残り1%は二酸化炭素や水蒸気などの成分になっています。

つまり空気の振動は、空気分子である窒素と酸素の振動だと言えることです。

そして、空気22.4Lの中には、6.02×1023の分子が存在しています(イメージとしては世界の海岸の砂粒の数の合計)。

このような大量な分子を一つ一つのボールと見なして(実際も丸い分子です)、飛行機を例に説明します。

音源である飛行機が前に進んで、飛行機の先端には空気分子をぶつけました。ぶつけられた空気分子はさらに自己の周囲空気分子をぶつけます。

こうして振動はどんどん広がって、先端に無数な放射状の振動伝搬ができることにより、球面が形成します。なので、ここで音を大きなボールだと見ることもできます。

ちなみに、この伝わりの速さは音速と呼ばれ、常温の場合は約340.5m/sです。ちなみに、このような伝搬は密度の変動とも呼ばれています。

つまり、音の正体は、振動した空気分子がどんどん拡大していったものだということがわかります。そしてこれは物体同士の振動なので、力学的特性も持っています。

人間が音を聞くというのも、鼓膜がこの振動を拾って、分析した結果を信号として脳に伝える仕組みです。

では本題に入りますが、今までの防音室の壁は質量則と剛性則に従って作ってこられました。これも音の力学的特性を利用して、すでに検証済みの理論です。(誤解はありますが:参考記事「質量則は遮音量計算の根拠にはならない?!」)

質量則は、壁が重ければ重いほど、ボールみたいな音が壁に当たった時、より跳ね返されやすいし、ボールが与えた力も、壁の内側に伝わらないということです。イメージとしては、重いコンクリートの壁です。

コンクリートの壁なら、遮音性能が高いのが当たり前のように理解できると思います。

そして、この重量則からその他が剛性則です。つまり別に重くなくても、壁が固ければ、同様に音のボールを跳ね返すことができるという理論です。

この剛性則を利用することによって軽くて固い材料を使った防音室が増えてきました。防音業界では大きな進歩と言えるでしょう。

では、これらの理論に従話が戻りますが、音をボールと見なすと、防音室の外壁は平らじゃなくて、別の形状にすることによって、防音性能がさらに上がるのではないでしょうか。

例えば、同じ力で、同じボールを平らな壁に投げるのと、球状の凸が出っ張る壁に投げるのを比べると、どちらのほうが、ボールを遠く跳ね返すのでしょうか?

日常の経験からすると、当然球状の凸が出っ張る壁のほうが遠いはずですね。

もちろんこの経験は正しいです。しかもこれを裏付けるきちんとした理論もあります。つまり圧力の式です:

P=F/S (P:圧力 F:力 S:力が当たる面積)

これを見ると、面積が小さければ小さいほど、圧力が大きいことがわかります。

なので、防音室の外壁を何かの出っ張る形にして、音のボールが当たる面積を減らすことによって、跳ね返す圧力が増え、遮音性能が上がるのではないか?と弊社はこれからも、これについて実験をしていきます。弊社ソノーラは、防音室、無響室、騒音対策などの分野でお客様それぞれのニーズに合わせてオーダーメイドの商品を提供しております。

また、ユーザーにより性能の良いものを提供するために、ソノーラは常に製品開発に力を入れて、自社工場で数多くの実験をしています。

弊社を詳しく知るには、ホームページ(https://www.soundenvironment.jp/)をご覧ください。

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